コンポーネントを作り込むほど、AIのデザインは縮こまる

再利用できる UI コンポーネントをたくさん用意しておけば、制作は速く、綺麗になる。長らくそう信じてきました。実際、発想の元手が少ないうちは、整ったパーツ群は大きな助けになります。

でも、AIエージェントと一緒にデザインするようになって、逆のことが起きるのに気づきました。

パーツが多いほど、その「中」でしか考えなくなる

用意したコンポーネントが多いほど、AI はそのバリエーションの範囲内でデザインを組み立てようとします。たとえばボタンの型が 12 種類あると、13 種類目をまず発明しません。12 種類の中から、一番近いものを選びます。手持ちの部品で解ける形に、問題のほうを寄せてしまいます。パーツ集が、いつの間にか発想の枠になるのです。

AIの実装力が上がると、枠はむしろ邪魔になる

かつては「凡庸な発想を、良質なパーツで底上げする」仕組みに価値がありました。けれど AI 自体の実装力・構成力が上がった今は、白紙から素直に組ませたほうが、要件にぴったりの形が出てくることが増えました。

大きな部品体系は、それを使う側に環境を把握するコストも強います。命名規則、部品どうしの依存、上書きの作法を覚えなければなりません。そのコストを払ってまで枠を抱えるより、軽い土台の上で毎回素直に作るほうが速くて自由だ、というのが今の感触です。

だから最近は、作り込んだ部品体系を前提にするのをやめて、必要な部分だけ切り出して使う方向に寄せています。捨てたのは部品ではなく、「体系を前提にする」という構えのほうです。