95%は一瞬でできて、残りの5%は速くならない
作るのが速くなれば、そのぶん多くを世に出せる。これは当然のことです。
AIエージェントを使うようになって、1人なら10年かかりそうなものが1〜2週間で形にできるようになりました。開発速度は数百倍。これはけっして盛った数字ではありません。
ただ、速くなったのは95%までで、残りの5%はいまも昔も変わりません。
SNSで流れてくるのは、95%の姿
一瞬でアプリができた、という話をよく見かけます。実際、画面は動いています。正直、すごいです。
ですが、あれは95%の姿です。実際に触ってみると、細かいところは不具合がてんこ盛りで、とても納品できるような状態ではありません。95%のインパクトが大きいぶん、残りの5%が見えなくなります。
AIの確認は、AIが立てた前提の中で止まる
AIエージェントは動作確認をしないわけではありません。走らせて、エラーを拾って、直すところまではやってくれます。
ただ、確かめているのは「自分が書いたコードを、自分が立てた前提で」です。前提そのものから抜けていれば、その抜けは確認にも出てきません。実装の届く範囲と、確認の届く範囲が、同じところで止まる。
この壁は、ある程度であれば外から崩せます。エージェントにチームを組ませて、別々の視点から確認させる。複数のAIを用いてクロスレビューさせる。片方の前提の抜けが、もう片方の目には見えることがあります。これでかなりの抜けは拾えます。大量のトークン消費と費用と引き換えに…。
それでも、拾えるのはある程度までです。残るものは、たいてい「エラーは出ないが、意図とは違う」ものになります。これは実際に人間が動かして、確認するしかありません。生成がどれだけ速くなっても、この時間だけは変わらないのです。
95%は作る仕事、5%は疑う仕事
AIが数百倍にしたのは、作る側だけでした。
残りの5%をどこまで丁寧に潰せるかが、今後のAI駆動開発では大きな課題になっていくと見ています。実務を経ていないエンジニアは、おそらくこの部分を軽視しています。実務をしてきた人ほど、その重さをよく知っています。
私がポートフォリオに並べているものの多くも、実はこの5%の部分が残ったままです。見せる場と決めているので、そのまま置いてしまっています。
ただし、仕事として受けるものは違います。検査項目を細かく書き出して、一つ一つ潰していきます。短縮できない工程として、最初から含めています。
だから、モックアップができるまでは早いですが、そこから納品までにはしばらく日数を要します。
作るのが速くなって増えたのは、世に出せるものの数ではありませんでした。95%までできたものの数です。